パイプオルガン
~ 製作の経過 ~ヨハネによる福音書第1章1~5節(脚注参照)から「ことば」「いのち」「ひかり」という聖書の言葉をテーマにして礼拝堂は建てられました。同じく「ことば」「いのち」「ひかり」という言葉がテーマとなってパイプオルガンが製作され、設置されました。礼拝堂の前面には上から光が注がれ、パイプオルガンにおいてもパイプの音が上から注ぐように響くようにと考え、あえて礼拝堂の上階に設置いたしました。礼拝堂にオルガンの音が響きわたることによって、時にイエス様ご自身である「ことば」「いのち」「ひかり」を表し、時に会衆賛美をリードして、イエス様との交わりを確実なものにするということが、当教会坂野慧吉牧師の祈りでありました。
オルガンの大きさ、規模、そしてどのようなストップを使用して、どのような響きを調合するのかという最も大切な基本的な構成を、教会音楽家岳藤豪希先生に相談しご指導を仰ぎました。そしてそのオルガンの構成に基づいて、一級建築士事務所「村上晶子アトリエ」の村上先生がこの礼拝堂の設計を担当されました。あらかじめ礼拝堂の残響、音響とパイプの音量を予測し、そしてパイプのストップ数が20から25、その中に16フィート管を組み込む等、オルガンの大きさ、規模を考慮し、先に触れましたように礼拝堂上階にそのスペースが確保されました。この構成に従って、ドイツのミヒャエル・クライス社にオルガンの製作をお願いいたしました。クライスさんは、旧礼拝堂のオルガンの製作者ケーベルさんの後継者でもあります。
このオルガンはフルー管とリード管を備えています。21のストップを組み込むことができるようになっていますが、2006年の完成当初、組み込まれていたストップの数は20まででした。その内の一つのストップは、フルーの16フィート管を鳴らすことができるようになっています。最後のストップには、いずれ16フィートのリード管(ファゴット管)を組み込みたいと願っておりました。完成から10年経った2016年6月、念願かなってその16フィートファゴット管が組み込まれました。鍵盤は二段の手鍵盤と足鍵盤で構成されています。音を作り出す技術、調整はクライスさん独特の音に対するこだわりからきています。パイプの歌口部分の調整、いわゆるヴォイシング(voicing)の技術、そして錫と鉛の微妙な比率からなる金属管、それらの技術が合わさって発する音は、柔らかく耳に優しい音色になっています。増設のファゴット管が響くときには、重厚な力強い低音が体に伝わり心が揺さぶられます。このオルガンの音はさらに、礼拝堂の空間が楽器の一部となって作用するため十分に響き渡り、独特の音の響きを作りあげています。それはまさに他の教会、ホールにない浦和福音自由教会独特のオルガンの音です。
発注の契約は2005年5月23日、完成は2006年クリスマス前日の12月23日でしたので、ちょうど1年7ヶ月で完成したことになります。2006年11月末から組立作業が始まり、その組立期間中には朝日、読売、毎日の各新聞社の取材があって、埼玉版に大きく取り上げられ、伝道礼拝には多くの来会者を迎えることができました。会堂に入りきれない方々のために、この日急遽二回目のコンサートを催すことにいたしました。合わせて1200人以上の人達にパイプオルガンの響きを味わっていただきました。以来、毎週の聖日礼拝で会衆の賛美をリードし、また、さまざまな集会やコンサートでも用いられています。
【ヨハネによる福音書第1章1~5節】
初めに、ことばがあった。ことばは神とともにあった。ことばは神であった。この方は、初めに神とともにおられた。すべてのものは、この方によって造られた。造られたもので、この方によらずにできたものは一つもない。この方にいのちがあった。このいのちは人の光であった。光はやみの中に輝いている。やみはこれに打ち勝たなかった。